「PPAP」でみる、英会話の「冠詞」を覚えていい感じ

はじめに

みなさんこんにちは、tak-englishです。今日も、何気ない一コマから感じる違和感を通じ、英語の奥深さに触れていく勉強方法を書いていこうと思います。

本日のテーマは日本人にはわかりにくい概念のひとつ、「冠詞」についてです。

非常にわかりにくい概念ですが、ちょっと頭をひねるだけで理解が深まりますので、ひとまずお付き合いくださいね。

 

そもそも冠詞なんて日本語にはない

PPAPから「a/an」を考える

今、巷で大人気のピコ太郎『PPAP』、みなさんも一度は耳にしたことがあるかと思います。

この曲は歌詞が非常にシンプルで誰にでもわかることから人気を得ていますが、その歌詞の中には4回「a/an」という冠詞が出てきます。そう、I have a penのあの部分ですね。

ところで、ちょっと考えてみるとたどり着く疑問なのですが、この歌詞、なぜ「the」にして「I have the pen」としなかったのでしょうか?

 

なんでそんな野暮なことを聞くんだ、と思われた方、これは結構由々しき疑問なので、少しだけご清聴下さい。

なぜこの歌詞の冠詞はaでtheではないのか。その理由は、英語をそれなりに勉強した人か、英語圏に留学した人を除いては、なかなか説明できないでしょう。

 

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というより、その人達自身もすでに当たり前になってしまって理解が抜け落ちてしまっている可能性を含む概念が、冠詞というものなのです。

だって、日本語には冠詞がないのですから。

ちなみに、あとで説明しますが、pinapple pen とapple penは冠詞を省略しても違和感はあまりありません。これも不思議ではありませんか?

 

「英語は数えたがる、はっきりしたがる」の原則

多くの日本人には煩わしいことかも知れませんが、英語は物を数えたがります。

これは理屈ではなく、言葉の仕組みとして何世紀もかけて仕上がってきてしまっているので、そう簡単に変えることができないルールです。

辞書を引いてみると、あらゆる名詞には「加算」「不可算」という表示がついています。これは、文や会話に表れてくる名詞を必ず数えると言う英語の性質に由来した目安のようなものです。

例えば、先ほどお話したペン。こちらも、次の性質によってa、theどちらの冠を戴くか明らかになります。

 

・この世に無数に存在するペンの中から、聞き手や読み手がそのペンをどのようなものか特定できない、特定する必要がない場合の「ひとつ」に、aを付ける。

 

『PPAP』でいうと、ペン、リンゴ、パイナップルはその都度「この世にあるペン、リンゴ、パイナップルからたったひとつどれでもいいものを取り出して聞き手に見せているのです。

このとき、theを使うことはできません。それはtheを使ってしまうと、聞き手に「このペンが何だか知っているよな?あのペン、そのペンだよ!」と言う呼びかけになってしまうからです。

基本的に、theは受け手がその内容から、名詞の対象をどれか即座に判別できるときに使います。

 

それがわからない名詞の時にtheをつけてしまうと、やや不粋な感じになってしまうか、意味が通らず「?」マークがついた内容になってしまうのです。

これではっきりしましたね。語り手が受け手に対して無意識に何かを特定したくない場合、そしてそれが一個である場合には、英語では無意識にa/anを付けます。

例えばあなたが日本人であるとき、英語で自己紹介をするならば、日本語「私は日本人です」と言うのをそのまま訳してはいけません。脳内で一度こう変換してください。

「私は(不特定多数の日本人の中でなんら特定されていないひとりの)日本人です」

 

すなわち、英語は

I am a Japanese. 

となります。

 

特定できればthe

さて、さきほど「pinapple pen とapple penは冠詞を省略しても違和感はあまりありません」と言いました。それは何故か、今までの説明から導けます。

ペンを刺して成立したpineapple pen/apple penと言うものは、この世でほぼ一つしかないでしょう。

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そして、それまでの流れ(不特定多数のペン/リンゴ/パイナップルからそれぞれを合成した)から、この名詞は聞き手がすぐにそれとわかる状態になっています。

ですから、この二つはtheのあるなしに関わらず自明な存在であり、それを受け取る相手もすぐに理解できるため、違和感がないのです。

 

例えば商品の商標登録されたもの、ソニーのWALKMANなどは、それを出すだけで聞き手がだいたい「ああ、あれね」と理解できるので、冠詞がなくても大丈夫ですね。

 

おわりに、もう一歩先へ―訳し方

今回の記事では、話題の『PPAP』を通じ、英語脳になるためには「数えたがり、特定したがり」になるというコツが必要ということをお届けしました。

英語の冠詞の性質を考えると、日本人が英語を訳すときに気を付けたいことが見えてきます。

ガチガチの試験英語を別として、冠詞や定冠詞に惑わされる英訳をしないということです。

 

日本語には名詞にいちいち冠詞のあるなしを考えると言う文化がありませんから、こなれた訳にするためには、「ある一本のペン」「ある林檎」「その林檎」などと言う訳をいちいち律儀につけず、文脈の流れを把握して、その都度省略したり付け加えたりして読んだりしましょう。

ただし、英作文する時にはその反対に、常に名詞が「単数/多数/特定/不特定」かどうかというフィルターを脳内に設けて考えると便利です。

ちょっとだけ頭をひねるだけで、一味違った英語使いに慣れますので、ぜひ試してみてください。

 

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