英語の「複数形・数」の概念を分かりやすく説明する

英語を勉強していて、1つのものに a や an をつけ忘れたり、複数形の -s をつけ忘れた経験のある人は多いと思います。英語は日本語と比較してとても数に細かい言語です。例えば、日本語だとペンは何本あっても「ペン」ですが、英語だと2本以上になればpenがpensと表記されます。この-sをつけるかつけないか、という場面に立った時、日本人学習者はどうしても母国語のクセで考えてしまうため、英語における数の概念を苦手にしている人が多いのです。

「ひとつ」を基準にしないこと

中学英語で最初に勉強するのは「単数」の名詞です。よって、初級学習者にはa/an +単数名詞が英語における数の基準としてインプットされてしまいます。そもそもはこれが間違いだと思うのですが…。

英語での数の考え方は複数が基本です。多くの人が「モノが1つの時には名詞の前にa/anをつけます」と教わったと思います。a/anという冠詞がつくのは名詞が単数の時だけです。2つ以上に数が増えれば当然複数形の-sがつきますし、数がない、つまりゼロ個、ゼロ人の時にも名詞には-sが付きます。ということは、「1つ」が特別であると言えます。

中学1年レベルの英文として、I have a friend.という文章を中学生はよく書きます。しかしよく考えてみると、この文は「私には友達が1人(だけ)います」という意味であり、この後ろに関係代名詞などを用いて詳しい説明がなされていれば全く問題はないのですが、この文章だけだと些かの違和感を覚えます。「友だちが一人だけ?」という内容に対する疑問もありますが、そもそもa/anは「ひとつ」という意味はそれほど強く持ち合わせてはいないのです。

友達が何人いるかなんて明確に数えて記憶している人は多くないでしょう。少なくともクラスの同級生や地元の友人など複数存在するはずです。はっきり数は分からないけど何人か(複数)いるのであれば、I have friends.と複数で表せば良いし、またははっきりとI have four friends. / I have many friends.などと数をつけて言えば良いのです。

a/anとoneも混同しやすい

先述の通り、a/anは確かに単数を表す冠詞ですが、oneと同じ意味だと考えている人がたくさんいます。単語が異なる以上意味が同じということはなく、a/anは数よりもその中身に重点を置き、oneは数そのものに重点を置きます。

① I have a cat.

② I have one cat.

上記2つの例文、どちらも「私は猫を飼っています」ですが、ニュアンスは全く異なります。①の方は、「私は猫を飼っている。あ、1匹です」といった感じで、②の方は「私は猫を1匹飼っている。2匹ではない」という感じです。①は猫という内容を重視し、②は猫の数を重視しています。英語の学習を進めていくにあたり、こういった冠詞と数の概念については、何だっけと悩むことなくするりと口から出てくるようになるまで練習することが大事です。

複数で表さないもの

furniture(家具)、cutlery(カトラリー・刃物類)など、「まとまったもの」として認識されている名詞は-sをつけません。また、sheep(羊)、fish(魚)も-sがつかず、単数も複数も同じ形で表されます。群れをなして行動しているから…という説があります。他にはJapaneseなど民族を表す語にも単数・複数の別はありません。これらについて1つひとつを認識していたら大変なことになりますよね。

また、液体や雪、お金など「流動的なもの」は複数で表すことができません。この場合、「数えられる容器に入れて」数量を表します。

a glass of  water (コップ1杯の水)

two cups of coffee(カップ2杯のコーヒー)

a bunch of flower (1束の花)

また、お金(money)については、現在は紙幣やコインで1つずつ数えることができますが、昔の貨幣は金や石であったことから、moneyは複数形を取らないのです(そもそも紙幣とコインなどを合わせてmoneyですので、「まとまったもの」として認識されている、と考えてもいいと思います)。

筆者もなかなか英語の数の概念には苦労しました。使わないと身につかないことは知っていても、環境的に実際に使うチャンスはそうそうなかったからです。そこで、無理矢理自分の身の回りにあるものを口に出して数えていました。「many books, four pens, much money(ないけど), a lot of homework…」環境がなければ自分で作るしかないので、小声でぶつぶつつぶやいていました(ちょっと怪しいですね)。

まとめ

初級学習者にとって複数形の概念は簡単なようでなかなかの強敵です。少しずつ勉強を進める中で理解を深めていってください。会話の中で多少のエラーがあっても、それを逐一突っ込んでくる人はいません。書きものの中でエラーがあれば、そっと訂正してくれます。英語を使えるようになるコツは、何回も間違えて覚えることですので、多少のミスは気にせずどんどんアウトプットしてください。大雑把に言うと、

①基本的に「1つ、2つ…」と数えられるものには-sをつけておく

②a/an がつくのは「1こだけ」のスペシャルな時

③原形を留めないもの(水、お金など)は-sをつけない

④集合体は-sをつけない

まずはこの4つを意識して学習を進めると良いと思います。頑張ってくださいね。

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